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私のことを、もう少し。
❖ Episode 13
忙しさの中で、思い出したこと
毎月の定期講座が5ヶ所。
それに加えて、
各地での単発ワークショップ。
「教えてほしい」と
言っていただけることが嬉しくて、
あちこちへ出かけていました。
けれど、
ブラックワーク刺繍の活動が広がるにつれて、
毎月の教材・サンプル・キット作りなど
各教室の準備や、
教室の皆さんとのグループ展の準備や
毎日の365日のパターンレシピなど
いつの間にか
私自身に余裕がなくなっていました。


そんなとき、
ふと思い出したことがありました。
私はブラックワーク刺繍を
「刺繍瞑想」と呼んでいます。
布の目を
ひとつ、ふたつ、と数えながら
ひと針ずつ刺していく。
そこに集中していると、
頭の中をぐるぐるしていたことが
いつの間にか静かになっていきます。
生徒さんからも、
「無になれた」
「すごく集中した」
「なんだかスッキリした」
そんな言葉を
いただくようになっていました。
そういえば、
以前やっていたパステルアートも
同じでした。
好きな色を選び、
指でくるくると色を重ねていく。
上手に描こうとしなくてもいい。
絵心がなくてもいい。
ただ手を動かしているうちに、
少しずつ心が静かになっていく。
写真も、刺繍も、パステルも。
一見、
違うことをしているようだけれど、
私が惹かれてきたものには
どこか共通するものがあることに
気づきました。

私は、
何かを上手にできるようになることだけを
伝えたかったわけではなかったんだ。
手を動かし、
何かを表現することに夢中になる時間。
その時間の中で、
少し心が静かになったり、
ほっとしたり、
自分に戻っていく。
そんな時間を
届けたかったんだ。
忙しさの中で、
いつの間にか私自身が忘れかけていたことを、
もう一度、
思い出したのでした。


以前、
刺繍やパステル、写真など
それまで自分がやってきたものを組み合わせて、
6つのワークを楽しむ
アート講座をつくったことがありました。
忙しくて、
心が縮こまってしまうとき。
人と比べて、
「私なんて……」
と自分を否定したり、
自分を責めてしまうとき。
そんなときにこそ、
とにかく手を動かしてみる。
下手でもいい。
完璧じゃなくていい。
絵心がなくてもいい。
センスがなくてもいい。
自分が選んだ色で、
自分が心地いいと思うまで
手を動かしてみる。
自分の感覚に戻っていく。
